「しとしと」と降る雨はなく、2~3日たっぷりと降雨があっただけで、なんとなく雨が少ないようだ。今の時期に雨が降らないと農家にとっては野菜づくりに影響する。 今が旬の「とうもろこし」は甘味があって美味しいが、あまりにも身が柔らかいので少し物足りない気もする。でも品質改良が進んだ結果 であるから、美味しくいただくことにしている。「昔はうまかったんだがなー」というのは死語で、今の時代にあった食材をそれなりに好きになるしか仕方ないのかも知れない。こんなことを考えながら「とうもろこし」を“おやつ”にしてスタッフと共にベランダに出てブレイクタイムを楽しむ.....。
午後3時の風は実に気持ちが良い。木々の小枝をかすかにゆする風は「くちなしの花」の香りを運んでくる。ウグヒスは相変わらず美声の谷渡りを聞かせてくれる。わたしたち「山荘」のスタッフは、この短い時間を大切にしている。自分達がこの自然を好きになり愛して、はじめて訪れる方たちに「どうぞ」と云えるのである。この環境の中で美味しい料理を作れなかったら料理人として失格である。
東京に行き「エスコフィエ晩餐会」で、美味しい料理を食べてきたあとなので「やる気充分」な仕事人になっている。贅沢なブレイクタイムで英気を養ってディナーの仕上げに入っていくのである。
6月15日<晩餐会>
東京千代田区紀尾井町のホテルニューオータニ「芙蓉の間」に於いて、平成17年度特定非営利活動法人 日本エスコフィエ協会の総会、ならびに晩餐会が開催された。
エスコフィエの弟子のエシャルプ(タスキ)をつけた会員が622名出席。盛大な晩餐会になる。
総会のあと、いよいよ食事スタート。来賓のフランス大使のスピーチではじまり、村上名誉会長の音頭によるカンパイが済むと、食事中はスピーチなし、全員、料理長クラスの会食である。全国から集まった料理人の会食は、スタートから2時間30分の決められた時間内で終了する。料理を作るプロの食事は、実に気持ちのよい流れの中で行われる。会ができてから34年のキャリヤをもつので、食事中のマナーもきびしく、よほどの用事がないかぎり席を立たないようになっている。エスコフィエの技術を忠実に守った古典料理を現代風に研究、アレンジされた料理は、素晴らしい出来ばえである。また、サービスをしてくれるホテルのスタッフの洗練された動きは、一糸みだれず実に気持ちがよい。
年一回のこの晩餐会は、私にとってよいしげきになり、味づくりの原点にもどることができる。
帆立貝のグリエ リンゴとヴァニラのハーモニー
グリーンアスパラガスのフォンダンとエクルヴィス
トマトとマルジョレーヌのデュエット
冷製クレームポティロン ラールの香り
平目のブレゼ デュグレレ風
メロンのスープとソテルヌのグラニテ
仔羊とオリーブのタブナード ナスのフラン大葉との饗宴
季節のサラダとシェーヴルフロマージュと共に
ペーシュのファンソンメルバ“2005年バージョン”エスコフィエの再来
コーヒーと小菓子