雑木林の真上には残月があって木々の間から顔を出す。
新年をむかえた気分のせいか、明け方の星の数がさらに増えたように感じる。
夜の間、木々の中で冷やされた空気はつめたいが、身体全体でシャワーのようにあびると壮快になり、寒くはない。
カサ、カサと落ち葉をふむ小さな音がする。
細い月のあかりでは、その相手を見ることができないが「えさ」をさがしているのだろう。
一歩づつ、坂道の土の上ふみしめる音も朝の静けさの中では気をつかうが、山の上からかたまっておりてきた風が木々をゆさぶり「あし音」をかき消して去っていった。
今日も、一日が始まる。