10数年前森町に仕事場を移したとき「一杯やりましょう」とさそわれることが多く、季節も今ごろであったので、この一杯の「おつまみ」が「とろろ汁」であった。
「イモ汁で一杯やる」が町の人たちの合言葉で、酒をくみかわし、そして「イモ汁」をすするのである。
栃木の山奥で育った私は「とろろ」を掘ったりもした。「すりおろした」「とろろ」を「出し汁」でのばし「ごはん」にかけて食べる習慣は知っていたが「イモ汁」を「ツマミ」に酒をのむのは初めてであった。
「出し」にもその家の「こだわり」があって「椎茸」「かつをぶし」「アユ」などで「すりおろしたとろろ」をのばしていくのである。
「とろろ」…ジネンジョの良いものほど、かたい「ネバリ」があって「すり鉢」でのばしていくのにも「力…チカラ」が必要だ。そのため男の人の仕事となる。
この「とろろ汁」が山荘の朝食にはつくので「秋の名物」となっている。私のこだわりは「椎茸とかつをぶし」味噌仕立てでつくる。
あまり味噌の味がきついと「とろろ」の味覚がなくなるので少なめに味噌を入れ、塩とショーユが少し入るのである。
すこぶる評判の良い「とろろ汁」があるせいか、お客様の「これが好きでいつも山荘へくるんだよなー」という言葉も聞こえたりして今朝もにぎやかな朝食タイム中です。
ベランダ横の桜の葉もすっかり色づきました。