「自家製スモーク」は、健康で平和である。自然の中で、自然の調理方法は、じっくりと時間をかける。「けむり」を与えたから、すぐ食べるのではない。けむりをかけ、それを熟成させねばならない。すなわち、けむりが味になるまで待つのである。この期間が楽しいのである。
最近では、アウトドアブームから川原で釣った魚を「スモーク」する。そして、その場で食べる、というのを楽しんでいる人たちもおられるが、これは「いぶり焼き」であって「スモーク」とは云わない。本当の「スモーク」の味を楽しむというわけではない。
私の著書*「柴田書店 燻製料理(作ってみる、食べにいく)」の中で書いているが、塩漬け(スパイスも加えて)が大切である。この下味がしっかりとされていないと、おいしいものはできない。塩漬けのあと「塩出し」を行なう。水洗いである。水に漬けて、余分についた塩分をおとすのである。塩をつけてからで塩出しをするなどおかしな作業だが、これが大切なのである。塩漬けをしっかりすることにより、材料のおいしさが引き出されるのである。
次にするのが乾かすこと、水分をふきとり、冷蔵庫の中で一夜ぐらい休ませることである。この水気とりが、よい燻製品をつくるコツかも知れない。あとは、静かなけむりをゆっくりとかけることだ。モクモクと立ちのぼるけむりはおいしい「スモーク」はできない。「スモーク」をする食材にもよるが、2~3時間から6~8時間、ものによっては、一日1時間くらい毎日、けむりをかけ2~3週間ぐらい続けてつくるものもある。さらに熟成に1ヶ月もかけて味が仕上がるとなると、もうこれは、自分の人生感にも結びつく…。
ここで熟成の方法をのべる。簡単なのである。「ラップ」で包み、冷蔵庫の中に入れておくだけでよい。 時間をかけてつくるものは11月から2月の乾燥期につくれば「しろうと」でも「おいしい」「生ハム」ができる。 さて、おいしいものを食べるためには、静かに、あわてず、のんびりとつくることである。 「ナタ」で小さく桜のチップをつくるそばで「ウグイス」がないた。まだ本調子のなき声ではない。これから楽しませてくれることだろう。
*今井克宏 著「燻製料理(作ってみる、食べにいく)」柴田書店 お問い合せください。