良く磨かれているレストランのガラス窓にたまにぶつかってくる小鳥がいて死んでいるのを何度か見つけ、その都度小さな墓をつくってあげたことがあるが、最近はレストランのまわりの木が大きくなったせいか事故は少なくなってきていた。
事故にあった小鳥は先程まで木の枝で美声を聞かせていた「ホトトギス」であった。 雨期に入ってから少しづつではあるが鳴き声が小さくなってきていたので、彼らのシーズンも終わりに近づいてきた時の事故である。ベランダに落ちた時は頭が羽根にめり込んだようになっていたが首を動かしながら正常に座れるようになってきた。気絶した当初の身体を震わせている動作はおさまり「じっとしていながらまわりをみている」という感じである。「大丈夫かもしれない」とスタッフが器に水を入れて近付けると、警戒をしながらもクチバシにつけられた水をすするように飲んだ。小鳥は少しづつ元気を取り戻しつつあることがわかる動きをした。うづくまっているのは相変わらずであったが首の動きが活発になってきたのである。
「飛びました、元気になって低空飛行で飛んでいった」とスタッフの明るい声を聞いたのが事故から30分以上たっていた。ホッとすると共に命の尊さを小鳥たちと共有しているように思えた。 梅雨も終わりに近づいている。