1日1組のみ、理想を貫く伝説のフレンチ
招く客は一日一組のみ。かつて浜松にあったその店は、人づてに3年先まで予約が埋まるほどの人気になった。シェフ今井克宏はある日そんな恵まれた状況をも捨て、理想のオーベルジュづくりを想い、遠州の小京都森町に移り住む。
山に抱かれ水に恵まれた新天地には、あらたなフレンチの伝説が生まれていた。
1日1客主義、15万円のランチ
「料理人には誰でもなれるけど、味を創る料理人には誰でもがなれるわけではない」と素材つくりからはじめる。
「クレソンを植えてみたり、周囲の農家から最高の素材が手に入れることができ理想に一歩近づきました。」というシェフは、輝かしい経歴を持つにもかかわらず、61歳と熟練した今も努力を怠らない夢追い人である。
おいしい野菜が食べたい~永田農法を旅する
世界に名を馳せた一流シェフが、終の住処・仕事場に選んだのは山上の小さな土地だった。
そこは本物を見分けられる人達のたまり場であり、世界を目指すシェフたちの研修施設となっている。
風の匂いを味わい、土地の感触を愉しみ、贅沢な一日を堪能する。
ヨーロッパ各地で修行を積んでいた今井シェフが見たのは、本場フランスの「アンドレ・ジュネのオーベルジュ」。それは人生を謳歌する人々のためのマストアイテムとなっていた。それを理想として造られた三鞍の山荘では、地元農家やシェフ自身が手塩にかけた四季折々の食材で、その日最高の出来の素材生かした料理をつくる。体にやさしく記憶に残るフランス料理に舌鼓を打った後は、1日のうち何度も姿を変える山々の美しい景色が一望できる、独立したした5つの宿泊棟に。大地のエネルギーをいっぱいに受けて身も心もリフレッシュできそうだ。
今回のぶらり旅は、静岡県森町。高級フランス料理で祝宴を
「安売り」や「激安」ばかりが取りざたされるデフレ時代の今、「料理人の理想を結実したレストラン」が天竜浜名湖鉄道・遠州森町駅からはるか人里はなれた地に存在する。
オーナーシェフは世界料理大会で金メダルを獲得し、料理人のバイブル「燻製料理と技法」(柴田書店)を執筆する今井克宏氏。
人生の大切な記念日に「フランスの三星レストラン」を予約する手もあるが、ここでは1泊2日の国内旅行でそれに匹敵する体験が味わえる。
永田野菜の新たな展開、シェフを本気にさせる常識破りの野菜達
「本音を言うと永田野菜は糖度が高くて火の通りが早いから、使うのがとても難しい。野菜スープひとつとっても、つくって30分以内に飲まないと、強い甘みが出て味のバランスが崩れてしまう。シチューに入れる人参もまえもって別の鍋で煮て、あとでビーフと合わせる。いつも野菜と真剣勝負が求められます。」
朝ごはんも手をむかぬ「もてなしのこころ」
静岡の山奥に究極と言える料理店がある。世界料理オリンピックで日本人としてはじめて金メダルを受賞した伝説のシェフ今井克宏の開いたオーベルジュ。
大きな自然の力に抱かれて過ごす 究極のオーベルジュ
彩り豊かな健康的な料理。自然の恵みのありがたさを実感十分すぎるほどのシチュエーション。
山に沈む夕日、夜空を覆う満天の星など、ここには究極の宿が用意されている。
伝説の料理人と言葉を交わす
ぽっかりと山というか森の中に現れた。まさに山荘と呼ぶに相応しいロケーションである。
自然の恵みを味わう歓び。窓からの眺めが素晴らしい。ベランダに出るとまた空気が旨い。見渡す限りの緑である。
安全安心、しかもおいしい。フランス修行でレストランのありようを体得
「レストランは本来日常から離れた遠隔に地にこそあるべき。鄙びた自然環境の中で、山野の恵みが産まれる土地で」と主張し、実践してしまったマエストロがいる。料理旅籠と訳されるオーベルジュだけに、山の斜面に高床式の宿泊棟が5棟。壮大な山並みがパノラマできるウッディーなレストラン。ここには定型のメニューは一切無い。ディナー時に配布されるフリーハンドの品書きがあるだけだ。それも内容は毎日かわる。
食材と水にこだわった正統派フランス料理の宿。朝食までおいしい宿とは。
夕食にこだわる宿は多い。一方、朝食までもがおいしい宿は少ない。
逆に言えば、朝食がおいしい宿は、夕食も間違いなく満足させてくれるはずだ。
食材にこだわり、料理哲学にこだわった、伝説のシェフの宿をご紹介。
たっぷり野菜のスローフードを提供、自然を満喫できるオーベルジュ。
「この山荘は約300名のオーナーによって運営され、私が副会長を務めるエスコフィエ協会もオーナーの一員です。ここは風の通り道となっているので空気はいつも澄んでおり、裏山から地下に浸み出たおいしい水もあります。そして山々や谷を見渡せる素晴らしい景観や、満天の星空などがお客様にとってなによりの最高のご馳走ですね。」
地野菜をふんだんに使い、日本人に合う料理を作る。
35年前、ジュラ県アルボワの「アンドレ・ジュネ氏のホテル・ドゥ・パリ」で修行していたとき、地元の野菜やマス・ホロホロ鳥・エスカルゴを使い、山羊の乳でチーズやデザートを作るといった地元の産物を生かした生活をした。この体験を自分の理想とし、ここでは先頭に立って農家の人に野菜作りを推進してきた。」
「全国からお客様がいらっしゃいますが、洋食にはなれていてもフランス料理には不慣れな人が多いのが現実です。ソース・ヴァン・ブランを添えた舌平目よりバター焼きにしてキノコや野菜をたっぷり添えるなどお客様の味覚にあったアレンジをしています。もちろん食べなれた方には、ジビエや内臓を使った料理を作ることもあります。」
「料理人には誰でもなれますが、味を創る料理人は少ないと思います。いくら見た目が綺麗でも心から美味しいと喜んでもらえる味でなければお客様はまた来てくれません。」
グルメ屋 2005.3 (カラー2P)
自然に囲まれた山荘で、スローライフの真理に出会う
「フランスにいた頃オーベルジュの存在と魅力を知って、いつか自分もそういうスタイルのお店をやりたいと若いころからの夢があって、それを実現したのがこの山荘なんです。」
「風も水も太陽もあるこの場所で、野菜作りをしながらお客様を迎えたいと思ったのが、この土地で山荘を始めたきっかけ。」
「スローフードにはやはり環境も大切。時間を気にせずにのんびりと食事をする楽しさや、自然の中で心と体を癒す歓びを味わってもらいたい。」と穏やかな表情で気さくに語るシェフと接しはじめてスローフードの本当の在り方に触れた気がした。
自然の恵みと伝統料理に魅かれた伝説のシェフ
浜松だけでなく日本のフレンチ界を引っ張り続けてきた業績は、300人という弟子の数を見れば一目瞭然。
今井克宏さんが森町に来たのは、料理の基礎となる自然に触れるため。料理の伝統を大切に護りその土地の素材を使い分け、日本人の味に仕上げるのが課題だという。66歳にしてまだまだ上を目指す向上心に期待せずにいられない。
思わず涙ぐんでしまった、シェフおふくろの味
山また山の道を進み、ここより先には家が無いと言う場所に建つオーベルジュ。「おいしい料理を食べてほしい」その一念で造られた山荘では「子供の頃母親が作ってくれたような和の朝ごはん」がいただける。フレンチの夕食の後食べたくなるのは、やっぱりこんな味なのでした。
自他共に食いしん坊と認める今回の旅人「澤田和美」さんが、フレンチの名シェフが創った山間の宿を訪れました。
そこにはシェフの想いがぎゅっと詰まった料理、温かいもてなし、楽しいふれあいが待ってました。フレンチは堅苦しくて苦手、あのバターたっぷりの味がどうも・・・・そう思っている方は、この宿でもてなされる料理を一度食べてみてください。
本当に美味しいものとは?本当に美味しい料理とは? この宿にはその答えがあります。
実力派シェフの本格フレンチを、素朴な山荘で気軽に味わう宿
日本のフランス料理界の草分けのひとり、今井克宏さんがオーナーシェフを努める山荘です。穏やかな山並みから吹く心地よい風と降り注ぐ日射し、この自然の中で愉しむ夕食は一見すると伝統的なフランス料理のフルコース。
「ここで食べてほしいのは子供からお年寄りまでおいしいと思う、日本人の口にあうフランス料理です。重いソースは工夫してヘルシーに、地元で作るシャキッと味の良い野菜もたっぷり。自家製の燻製やお菓子など手作りの美味しさも伝えたい」 手間と時間をたっぷりかけた料理が味わえるのも、この小さな山荘だからかなうこと。
静岡ならではの幸と一流の腕を愉しむなら、料理自慢の宿
おいしい料理に感激し、夜が更けそして朝が始まる
風かよう森の道を抜けて 山奥のオーベルジュへ はるばると
白波の遠州灘から 川を遡り、北へ北へと向かう。
明治の頃まで、信州方面へと 海辺から塩を送り届けた 塩の道、秋葉街道。
こんな山奥にレストランが? と不安になる頃 フランス料理の重鎮今井シェフの山荘が見えてくる。
最愛の人と美食にゆっくりと向き合うオーベルジュはクルマで行くことを前提としている。フランスやスイスのそれを訪ねれば、ゲストが乗りつけたクルマのラインが店の格式を物語り、テーブルに着く前に”勝負あり”となったりする。
朝ごはんにまで感涙、おとぎ話の山荘へ
「三鞍の山荘」はコストパフォーマンスとは対極の今井克宏の心のオーベルジュである。20代で渡欧して見てあこがれ、いつかはオーベルジュをと思っていた半生がそこには集約されている。そんな理想郷の扉が今日も今日も開いている。それはやはり現代のおとぎ話だと、そう想う。
洋食はちょっと苦手な夫と料理は素材が気になる私。忘れられない味に出会えた。
素材は地元のものを中心にどれもシェフが厳選したもの。バターの香りやそれぞれの素材の風味はしっかりなのに、軽やかなやさしい料理だった。
太陽と水と風を求めてたどり着いた、永田農法の野菜が食べられるオーベルジュ。オーナーはフランス料理界のリーダー的存在である今井克宏さん。「あるパーティで偶然永田照喜治さんにお会いしました。日本の野菜はまずくてと嘆いていたら、美味しい野菜は作れますといって店まで野菜を持ってきてくださり、それ以来40年近いお付き合いになります。」
「永田農法の野菜はどれも美味しさが凝縮している感じ。香りが豊かでしっかり味がある。でも独特の個性があるからその分調理が難しい。素材を知らない人が調理すると普通以下になってしまう。そういう時はまず生で食べて見る。素材の良さを知りそこから何かを感じて、それに合う料理を考えるんです。」この山荘を訪れた人のリピータ率は80%にもなると言う。
伝統的なフランス料理の夜のコースも素晴らしいが、驚くのは朝食。なんと30品以上のお惣菜が食べ放題で並べられる。素材はすべて地元で採れたりつくられたもの。
目の前に広がる茶園を眺めながらの朝食は、これ以上の癒しは無いと思わせる、静岡の底力を感じる朝だ。
爽やかな風に囲まれ、からだにしみわたる仏料理
「この風があったからここに決めたんですよ」日本のフランス料理界を牽引してきた今井克宏さんが開いたオーベルジュがあるのは、緑濃き山の奥。一歩外に出ると、森の緑に洗われた爽やかな風がスッと頬をなでる。