総料理長は、「エスコフィエ協会」のメンバーになって2年になる。
今年、二人のシェフがメンバーになり、ディンプルを授与されたのを記念しての会食であった。
この三人のシェフたちとは35年前、浜松成子にあった「オーク」で共に働いた仲間である。
当時、ヨーロッパから帰国した私が一番「やる気」と「くせ」のある時でもあった。なぐりはしないが「どなったり」「おこったり」したことであろう。
その後働く場所は変わったが仲間としてのつきあいは続いている。
現在エスコフィエ協会の役員をしている自分にとっても昔の仲間が協会の正会員として「ディンプル……エスコフィエの弟子としての資格をもつ」になったことは嬉しいかぎりで、この夜の晩餐会は楽しい会食となった。 3人のシェフはフランスでの料理修業も経験しているので技術的には問題がないが、「エスコフィエ」の名前をつけての会食会は私が一番緊張していた。
挨拶する本人たちは堂々としていたし自信に満ちあふれていた。
食事会は素晴らしかった。味は当然ながら演出もよく、会場に来ていたお客様を満足させたのである。浜松という地元での食事会であったので知人も多かったが、皆さんが賞賛の言葉をのべていたのを見てほっとしたのである。 国産の「チョーザメ」の卵、キャビアのフレッシュはめづらしく、会場に飾ってみせた演出も良かったし、仔牛の丸焼きも最高であった。お客様が初めてみるローストしたお肉の切り分けを目で見て、そして食べて大満足であった。「エスコフィエ」の技術がこのようにして若い人たちに受けつがれていく、それを実感した夜であった。